【アメリカ糖尿病学会の最新報告】血糖モニタリングで生活習慣が変わる!糖尿病専門医が徹底解説
はじめに
東京都中央区・日本橋で糖尿病専門外来を行っている、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医の玉寄皓大です。
今回は、2025年6月にアメリカで開催された「第85回米国糖尿病学会年次学術集会」で発表された注目の研究をご紹介します。
この研究では、インスリンを使っていない糖尿病の方でも、短期間の血糖測定によって“生活が変わるきっかけ”が生まれることがわかりました。
当院においても、まさにこの研究と同じ考え方に基づいた「血糖モニタリング外来」を実施しています。
この記事では、その研究内容をわかりやすく解説するとともに、当院で行っている「血糖モニタリング外来」が、どのように日々の健康づくりに役立つのかをご紹介します。
インスリンを使っていなくても血糖を測る意味はあるの?
この研究は、デンマーク国内の20都市で行われ、インスリンを使っていない2型糖尿病の方724人が対象となりました。
参加者には、最大14日間使える「持続血糖測定器(いわゆる血糖モニタリングの機械)」が配られ、自宅で普段通りの生活をしながら血糖の変化を確認してもらいました。
特に注目すべき点は、特別な指導や食事制限などは一切なく、あくまで“いつもの生活の中で”血糖を測るという点です。
つまり、自分の体がどう反応しているかを、自然な環境で見てもらうという実験でした。
2週間の測定で得られた想像以上の“気づき”
2週間後のアンケートでは、全体の80%の方が「非常に有用だった」と回答しています。
具体的には、
- 食事「内容」による血糖の変動を実感した人が88%
- 食事「量」による血糖の変動を実感した人が80%
- 「運動」による血糖の変動を実感した人が65%
といった結果が出ました。
この研究ではさらに、測定終了から3か月後のアンケートでも、約50%の人が生活習慣の改善を継続できていたことも明らかになっています。
血糖を測るだけで人生が変わるきっかけになるかもしれない
この研究が示しているのは、「自分の体のことを、自分の目で知る」ことの力強さです。
誰かに言われたから変わるのではなく、自分自身の血糖の動きを見て、「この食事は自分に合わないかもしれない」「こうすれば良くなるかも」と自然に考えるようになります。
その結果、変わるのは血糖の数値だけではありません。行動が変わり、日々の選択そのものが少しずつ変わっていきます。
そうした積み重ねが血糖の安定につながり、やがて糖尿病の改善にもつながっていきます。
さらに、血糖値が安定して良くなることで、心筋梗塞や脳梗塞、腎臓の病気といった合併症を防ぐ可能性も高まります。
たった2週間の“気づき”が、未来の健康を守り、人生そのものを変える力になるかもしれません。
特に効果が高かったのは糖尿病歴5年未満の方
研究結果では、糖尿病歴が5年未満の人ほど、より多くの「気づき」を得られていたことが示されました。
| 項目 | 糖尿病歴5年以内 | 糖尿病歴5年以上 |
| 食事「内容」への気づき | 88% | 78% |
| 食事「量」への気づき | 80% | 60% |
| 運動効果への気づき | 65% | 55% |
糖尿病初期の方や、糖尿病予備軍(境界型糖尿病)と診断された方にとって、このような体験が治療ではなく予防としての“第一歩”になると考えられます。
当院の「血糖モニタリング外来」について
当院では、今回の研究でも使用されているような24時間血糖を測定できる機械(リブレ2)を活用し、血糖の変化を日常生活の中で"見える化"する「血糖モニタリング外来」を行っています。
- センサーは腕に貼るだけで痛みもありません
- 面倒な記録や入力は不要です
- 血糖の変化をスマホでリアルタイムで確認できます
まとめ|血糖モニタリングは、未来の健康への投資です
今回の第85回米国糖尿病学会年次学術集会での発表は、次のことを教えてくれました。
- インスリンを使っていない人でも、血糖を測る意味は十分にある
- たった2週間の“見える化”で、生活習慣に大きな変化が起こる
- その効果は一時的なものではなく、数か月後の行動にも影響している
当院では、この研究と同じアプローチで、ご自身の体と向き合うためのサポートをしています。
まずは血糖値を“知ること”から!
血糖モニタリング外来は、その第一歩です。
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著者:
東京都中央区日本橋人形町
玉寄クリニック
副院長・日本糖尿病学会認定糖尿病専門医
玉寄皓大

