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【内分泌代謝専門医が解説】痩せてるのにコレステロール高いのはなぜ?|体質・遺伝・甲状腺・更年期で“腑に落ちる”説明

[2026.02.08]

痩せているのにコレステロールが高いのはなぜ?

健康診断で「LDLコレステロールが高い」と書かれているのを見て、戸惑う方は少なくありません。

 

特に、痩せていて、普段から食事に気をつけている方ほど、こう感じやすいです。

 

「太っていないのに、どうして?」

「揚げ物ばかり食べているわけでもないのに?」

「すでに気をつけているのに、何を変えればいいの?」

 

そして実際に、健診の場や一般内科を受診したときに

「食事を気をつけましょう」 

「もう少し痩せましょう」

とだけ言われて、モヤモヤが残ってしまうことがあります。

 

“それはもうやっているのに、、”

 

そう感じるのは、とても自然なことです。

というのも、痩せている人のLDLは、食事だけで決まらないことが多いからです。

 

体質(遺伝)や、肝臓がLDLを回収して片づける力、甲状腺や更年期などのホルモン変化が関係して、努力とは別のところで数値が上がることがあります。

 

この記事では、脂質代謝の専門である内分泌代謝専門医の立場から、「痩せているのにLDLが高くなる理由」を、専門用語をできるだけ使わずに整理し、わかりやすく解説していきます。

 

まずここを知ると一気に理解できます

LDLってそもそも何?

LDLは、血液の中を流れている「コレステロールの運び屋」です。

 

LDLが多い状態が長く続くと、血管の壁にコレステロールがたまりやすくなり、将来的に動脈硬化につながります。

 

コレステロールは「食事だけ」で決まりません

体で作る分と、食事から入る分がある

コレステロールには

  • 体の中(主に肝臓)で作られる分
  • 食事から入ってくる分
    の両方があります。

 

そしてもう一つ、痩せている方の高LDLでとても大事なのが、次の視点です。

 

LDLは「作る量」より「回収できるか」で決まることがある

LDLは、本来、肝臓が血液から回収して片づけることで減っていきます。ところが、人によっては生まれつき、あるいはホルモンの影響で、この“回収力”が弱いことがあります。

 

  • 食事(入り口)を頑張って減らしても
  • 回収(片づけ)が弱いと
    血液中にLDLが残りやすく、下がりにくい

 

この「回収の強さ」がわかると、痩せているのに高い人の話が一気につながります。

 

痩せているのにLDLが高い人に多い原因(よくある順)

① 体質(遺伝):肝臓の“回収力”が生まれつき弱いタイプがある

家族に「コレステロールが高い人がいる」場合、体質(遺伝)の影響があることがあります。このタイプのポイントは、食事が悪いというより、肝臓がLDLを回収して片づける力が生まれつき弱いことがあるという点です。

 

こんな方は、このタイプの可能性があります(例)

  • ご家族(親・兄弟)もコレステロールが高いと言われている
  • ご本人も痩せているのにLDLが高い
  • 健診では血糖・血圧・肝機能などはほぼ正常で、「LDLだけ」高い
  • 食事はそれなりに気をつけているのに、数値があまり動かない

このタイプは「努力が足りない」のではありません。“回収の強さ”という、体の設定が背景にあることがあります。

 

② 食事内容の偏り:痩せていても“動物性脂肪・飽和脂肪酸”が多いとLDLは上がる

「痩せている=食事がヘルシー」、とは限りません。体重が増えていなくても、脂質の“質”が偏るとLDLが上がることがあります。 

 

特にLDLが上がりやすい食べ方は、次のようなパターンです。

  • 動物性脂肪が多い(脂身の多い肉、加工肉、バター、チーズ、生クリームなど)
  • 飽和脂肪酸が多い(いわゆる“こってり系”が日常的に多い)
  • 糖質制限(低糖質)をしていて、代わりに肉・チーズ・バターが増えている

 

よくあるのは、こういう置き換えです(例)

  • ご飯や麺などの炭水化物を控える代わりに、肉やチーズ、バターが増えている
  • 朝はパン+バター(+チーズ)が定番になっている
  • 「糖質を減らしているのに、なぜかLDLが上がった」と感じる

 

ここで大事なのは「糖質制限が悪い」と決めつけることではありません。やり方次第でLDLが上がりやすい人がいるという事実を知ることが、モヤモヤ解消につながります。

 

③ 甲状腺機能低下症:ホルモンが下がると“回収力”が落ちることがある

甲状腺ホルモンが少ない状態(甲状腺機能低下症)では、LDLが上がることがあります。

 

なぜ上がるの?

LDLは、肝臓が回収して片づけます。甲状腺ホルモンが少ないと、この回収が弱くなりやすい。

「回収が弱くなる → 血液中にLDLが残る → LDLが上がる」

 

そして重要なポイントがあります。甲状腺が原因の場合、甲状腺の治療でLDLが改善することがあります

 

甲状腺機能低下症は、見た目や自覚症状だけでは判断しにくく、採血をしないと分かりません。そのため当院では、痩せているのにLDLが高い方などでは、初診の採血で甲状腺ホルモン(甲状腺機能)を必ず確認しています。

 

④ 更年期:エストロゲン低下でLDLが上がりやすくなる

女性は閉経に向かう過程で、女性ホルモン(エストロゲン)が減っていきます。この変化で、LDLが上がりやすくなることがあります。

 

ざっくり言うと、エストロゲンにはLDLコレステロールを体の外へ出す流れを助ける働きがあるためです。エストロゲンが減ると、その助けが弱くなり、結果としてLDLが上がりやすくなります。

 

よくあるのは、こういう経過です(例)

  • 40代後半〜50代後半
  • 体重も生活も大きく変わらない
  • それなのに、健診で年々コレステロール(LDL)だけが少しずつ上がっていく

 

この時期は、「生活が悪化したから」ではなく、体の設定が変わる時期として捉えると納得しやすくなります。

 

「食事を気をつけて」で終わってしまう理由(モヤモヤの正体)

脂質異常症は、どこの内科でも相談できる一方で、痩せている人の高LDLは体質・回収力・ホルモン(甲状腺や更年期)・食事の“質”が絡むことがあります。

 

そのため現実には、

 

「一般的な食事指導だけでは説明しきれない」

→ 「患者さんが納得に至らない」

 

というズレが起きることがよくあります。

 

この記事が、これまで非専門医から「食事や運動を頑張って」としか言われずに腑に落ちなかった方のために、少しでも役に立つことを切に願っています。

 

実際に当院でも、背景を一緒に整理したことで「ようやく腑に落ちました」とおっしゃる方が大変多くいらっしゃいます。

 

よくある質問(FAQ)

Q1. 体質(遺伝)と言われたら、薬しかないですか?

A1.薬しかない、とは限りません。ただし体質の影響が強いタイプでは、生活習慣だけで「目標値まで(※)」下げるのが難しいことがあり、必要に応じて薬を組み合わせた方が、結果的に安心につながることがあります。大事なのは「薬を飲むか飲まないか」ではなく、あなたの将来リスク(年齢、持病、家族歴など)に見合った目標を決めて、そこに向かう方法を選ぶことです。

※LDL-Cの目標値については以下の記事をご参照ください。

▶︎【LDLコレステロール治療の始めどき】日本動脈硬化学会ガイドラインに基づいた判断基準を代謝専門医が丁寧に解説

 

Q2. 痩せているのにLDLが高いのは、やっぱり食事が原因ですか?

A2.原因が食事“だけ”とは限りません。ただし、痩せていても「動物性脂肪や飽和脂肪酸が多い」「糖質制限で肉・乳製品が増えた」など、食事の“質”の偏りで上がることはあります。「何を減らすか」だけでなく、何が増えているかも一緒に見直すと、方向性が見えやすくなります。

 

Q3. 甲状腺機能低下が原因なら、甲状腺を治療すればLDLは必ず下がりますか?

A3.必ず下がるとは言い切れません。ただ、甲状腺機能低下が背景にある場合、甲状腺の治療によって LDLが改善することはよくあります。

 

Q4. 更年期で上がったLDLは、もう下がらないんですか?

A4.そんなことはありません。更年期は“体の設定が変わる”時期なので、今までと同じ生活でもLDLが上がることがありますが、だからこそ 生活の調整ポイントや 必要なら薬の使い方で整えていけます。

 

Q5. 私は何を持って受診すればいいですか?

A5.健診結果(できれば紙で)をお持ちください。

当院ではまず、

  • LDL・TG・HDLのどこが問題か
  • 体質(遺伝)や回収力が関係しそうか
  • 甲状腺など背景がないか(当院では初診採血で確認します)
  • 更年期などホルモン変化が関係しそうか
  • 食事の“量”より“質”の偏りがないか
    を整理します。

 

当院の脂質異常症外来が大切にしていること

当院は、脂質異常症を含む代謝疾患の専門家である内分泌代謝専門医が2名も在籍する、東京都でも数少ない脂質異常症外来を有するクリニックです。近隣(人形町・浜町・水天宮前・茅場町・小伝馬町・馬喰町・馬喰横山など)はもちろん、東京都内で脂質異常症の相談先に迷っている方にも、多くの方にご来院いただいております。

 

初診・転院・セカンドオピニオンのご案内

玉寄クリニックでは、目的に合わせて次の3つの形でご相談いただけます。当院の脂質異常症外来の詳細はこちらから。

 

① 初診(健診でコレステロール高値を指摘された方)

健康診断・人間ドックの結果をお持ちください。数値の意味と背景を一緒に整理します。

 

② 転院(当院での継続治療をご希望の方)

他院で治療中の方で、当院へ転院して継続治療をご希望の場合は受診可能です。

※紹介状や直近の採血結果があるとスムーズです。

 

③ セカンドオピニオン(今の主治医は変えずに相談したい方)

「治療方針が腑に落ちない」「薬や検査について整理したい」など、当院にも一度相談したい方は、自費診療のセカンドオピニオンとして対応可能です。

▶︎セカンドオピニオン外来

 

いずれの初診(①-③)も健診結果を確認し、背景まで整理するためお電話による予約制となります。

 

電話:03-3661-5555

受付:9:00–12:20/14:30–17:50

住所:東京都中央区日本橋人形町1丁目12−11リガーレ日本橋人形町105

 

まとめ

 

▶︎著者紹介: 

人形町 水天宮 内科クリニック 医師

玉寄 皓大(たまよせ あきひろ)

  • 日本内科学会認定 内科専門医
  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医

東大病院・聖路加国際病院で内分泌・代謝疾患の診療に従事。現在は東京都中央区日本橋で脂質異常症などの代謝疾患の専門外来を担当。「“納得できるわかりやすい説明”を提供する医療」をモットーに、脂質異常症や糖尿病を丁寧に啓蒙することをライフワークとしている。

 

 

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