糖尿病で歯が悪くなるって本当?【内分泌代謝糖尿病内科専門医解説】
糖尿病と歯周病の深い関係
当院は糖尿病専門外来を掲げた内科のクリニックです。糖尿病内科のクリニックがなぜ「歯」の内容を取り上げるのか疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、歯肉のバイキン感染である「歯周病」は今では糖尿病の合併症の1つと数えられており、切っても切れない関係と言われています。
歯周病は糖尿病を悪化させ、その糖尿病により歯周病が進行し、同時に糖尿病も悪化させてしまう…。糖尿病と歯周病、お互いが悪影響を及ぼし合うまさに「負のスパイラル」の関係にあるのです。
歯周病とは
歯のバイキン感染のことを「虫歯」と言います。それに対して、歯の周りの歯肉のバイキン感染のことを「歯周病」と言います。
糖尿病が歯周病に悪影響を与える理由
コロナ禍で、糖尿病では免疫が低下することが世間に比較的しられるようになりました。糖尿病があるとバイキンやウイルスと戦う力、つまり「免疫力」が下がります。歯周病もバイキン感染のため、やはり感染しやすく、そして重症化しやすくなります。
歯周病が糖尿病に悪影響を与える理由
歯周病の菌から出る毒素やそれにより引き起こされる炎症が、血糖を下げるホルモンであるインスリンの働きを弱めてしまうのです。
歯科医と内科医との連携が重要
糖尿病と歯周病は並行して治療をしていきましょう
このように糖尿病と歯周病は極めて関係の深い病気ということになります。そのため、歯周病あるいは糖尿病の患者様は、内科医と歯科医がしっかりと連携をとることでそれぞれの治療効果の向上が期待できます。現在糖尿病の治療を受けている方は、歯周病に関する定期的なチェックも是非受けるようにしましょう。当院では内分泌代謝糖尿病専門医として、糖尿病予備軍・初期の段階から重症の糖尿病まで幅広く診療が可能です。少しでも気になった方はお気軽に是非ご相談ください。
歯科医と内科医の連携のために
この度、私が執筆に参加させていただいた、一般内科医および歯科医に向けた書籍「医科歯科相互連携でもっとうまくいく! 糖尿病・歯周病診療」(金芳堂出版) が販売のはこびとなりました。
この本は糖尿病を診療する内科医と歯周病を診療する歯科医の先生方を対象とした、医科・歯科の相互連携を深めるための内容となっており、これまでにない実用的相互連携解説書と言えます。
私の拙い文章を丁寧に校正していただき多大なご労力を賜った聖路加国際病院内分泌代謝科部長である能登先生をはじめ、綺麗なレイアウトやデザインに仕上げて頂いた金芳堂の皆様に深く感謝申し上げます。
玉寄クリニック
副院長 玉寄 皓大
医科歯科相互連携でもっとうまくいく! 糖尿病・歯周病診療