【高血圧ブログ|第2回】家庭血圧の正しい測り方|ここを間違えると治療がすべてズレます
はじめに|「病院の血圧」だけで判断していませんか?
高血圧の診療をしていると、こんな声をよく聞きます。
「病院だと高いけど、家ではそんなに高くないんです」
「家では測っていません」
「血圧は、来院したときに測るものだと思っていました」
実はこれ、高血圧診療でとても多い“落とし穴”なんです。
結論からお伝えすると、現在の高血圧診療では「病院の血圧」より「家庭血圧」の方が重要と考えられています。
この第2回高血圧ブログでは、なぜ家庭血圧が大切なのか、どうやって測ればよいのかを、中央区日本橋人形町・水天宮前で高血圧外来の診療を行っている日本内科学会認定内科専門医ができるだけわかりやすく解説します。
1. なぜ「家庭血圧」がそんなに大事なの?
理由は大きく3つあります。
① 病院では血圧が上がりやすい
病院に来ると、
- 緊張する
- 急いで来る
- 白衣を見るとドキッとする
こうした影響で、普段より血圧が高く出る人が少なくありません。
これを「白衣高血圧」 と呼びます。
逆に、
- 病院では正常
- 家では高い
という「仮面高血圧」 もあります。
どちらも、病院の血圧だけを見ていると見逃される可能性があります。
② 家庭血圧のほうが「将来の病気」をよく予測する
多くの研究で、家庭血圧の方が、脳卒中・心筋梗塞・腎臓病のリスクをより正確に反映することが分かっています。
そのため、現在のガイドラインでは、
高血圧診療の主役は「家庭血圧」
と位置づけられています。
③ 治療のズレを防げる
血圧の薬は、
- 効きすぎても困る
- 効かなすぎても意味がない
治療の“ちょうどよい強さ”を決めるために、
家庭血圧は欠かせない情報です。
2. 家庭血圧は「いつ」測るのが正解?
ここが一番重要です。
■ 朝の血圧(必須)
- 起床後 1時間以内
- トイレを済ませたあと
- 朝食前
- 薬を飲む前
- 椅子に座って1〜2分安静にしてから
→この条件がそろって、初めて“比較できる血圧”になります。
■ 夜の血圧(できれば)
- 寝る前
- 入浴や飲酒の直後は避ける
- リラックスした状態で
3.血圧計は「上腕式」を選んでください
家庭血圧の測定では、「上腕式」血圧計を推奨します。
なぜ手首式はおすすめしないの?
手首式は、手首の高さや角度で数値が変わりやすく、毎回の条件を揃えるのが難しいためです。
▶ 精度が担保されないと起こること
- 本当は高い人が「低く」出て治療機会を逃す
- 本当は高くない人が「高く」出て不安になる
未来のための血圧測定ですので、家庭でも、「上腕式」を使いましょう。
4. 何回測る?何日分見る?
■ 1回に何回?
- 1回につき2回測定
- 2回の差が大きい場合は、低い方を目安にします
■ 何日分?
- 最低 5〜7日分
- できれば 1週間以上
1回の数字で一喜一憂する必要はありません。大切なのは「平均」と「傾向」です。
5. 正しい姿勢で測れていますか?
意外と多い“測り方のミス”です。
■ 正しい姿勢
- 背もたれのある椅子に深く座る
- 足は組まず、床にしっかりつける
- 腕帯(カフ)は 心臓の高さ
- 話さない
- 測る前に 1〜2分安静
これだけで、5〜10mmHg変わることも珍しくありません。
6. 家庭血圧の目標は?
一般的な目安は、
家庭血圧:125 / 75 mmHg 未満
です。
ただし、
- ご高齢の方
- ふらつきが出やすい方
- 腎臓の病気がある方
では、無理に下げすぎないことも重要です。
当院では、年齢・体調・合併症を考慮した「あなた専用の目標」を一緒に決めます。
7. よくある質問Q&A
Q1. 血圧計はどれがいいですか?
A1.上腕式をおすすめします。手首式は、姿勢や位置で誤差が出やすいためです。
Q2. 毎日測らないとダメですか?
A2.最初は、毎日測ることが大切です。血圧が安定してきたら、頻度を減らすこともあります。
Q3. 高い日があったら、すぐ病院へ行くべき?
A3.症状がなければ、慌てる必要はありません。ただし、強い頭痛・胸痛・息切れ・手足のしびれなどがある場合は、早めの受診が必要です。
8. 家庭血圧は「最高の診察資料」
家庭血圧は、
医師にとってあなたの体の状態を知る最も信頼できる情報
です。
紙の血圧手帳でも、スマホのメモでも、血圧計の記録でも構いません。「続けられる方法」で記録してお見せいただくことをおすすめします。
9. 初診を考えている方へ
当院の高血圧の初診では、
- 家庭血圧の記録
- 健康診断の結果
- 生活習慣
- 内服中の薬やサプリ
をもとに、治療の方向性を整理します。
そのため、高血圧の初診はお電話でのご予約をお願いしています。中央区・日本橋人形町・水天宮前エリアで、高血圧をきちんと診てもらいたい方は、お電話でご予約ください。
10.まとめ|家庭血圧を制する者が、高血圧を制する
- 高血圧診療の主役は「家庭血圧」
- 測る時間・姿勢がとても大切
- 1回の数字より「平均と傾向」
- 続けられる方法でOK
正しく測れた家庭血圧は、治療を“ちょうどよく”進めるための土台になります。
11.次回予告|第3回
白衣高血圧と仮面高血圧|病院の血圧は当てにならない?
「家では正常なのに、病院だと高い」
「病院では正常なのに、家だと高い」
この違いが、なぜ危険につながるのかを解説します。
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▶︎著者紹介:
玉寄クリニック副院長
玉寄 皓大(たまよせあきひろ)
- 日本内科学会認定 内科専門医
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
- 日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医
東京大学病院・聖路加国際病院で研鑽を積んだ内科専門医。現在は中央区日本橋にて、地域の皆さまに「わかりやすく噛み砕いた説明」と「安心できる医療」を届けることを大切にしています。高血圧は「怖い病気」ではなく、「正しく付き合えば、寿命も生活も守れる病気」です。一人で悩まずに、ぜひ一度ご相談ください。内科・糖尿病・内分泌の専門医として、“数字”だけでなく、“生活”と“将来”まで一緒に考える診療を心がけています

