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不登校やギフテッドの子どもたちへ、「健康の授業」を届けて

[2025.11.11]

不登校やギフテッドの子どもたちへ、「健康の授業」を届けて

― 糖尿病専門医として、学校以外にも“学べる医療”を ―

 

東京都中央区日本橋にある玉寄クリニック副院長の玉寄皓大です。私は日本糖尿病学会認定糖尿病専門医として、日々、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病の診療を行っています。

 

これまで多くの患者さんを診てきて感じているのは、「病気を治すこと」と同じくらい、「病気を防ぐこと」が大切だということです。

 

医師として、正しい健康知識を一人でも多くの人に伝えたい。

 

その想いから、近年は「予防と啓発」の活動にも力を入れています

 

フリースクール「sparK」での特別授業

2025年11月8日、NPO法人ROJE(日本教育再興連盟)が運営するフリースクール「sparK」で、不登校やギフテッド(特別な才能を持つ)子どもたちを対象に、「生活習慣病とがん」をテーマに授業を行いました。

 

この活動は、学校以外の場所でも「学び」や「健康教育」に触れられるようにという想いで実施されています。

 

私は、医師として「健康の知識を一人でも多くの子どもたちに届けたい」という気持ちで参加しました。

 

 「学校に行かない」と健康教育の機会が減る現実

今の学校では、保健の授業で「生活習慣病」が正式に指導項目に含まれています。給食の時間や保健だよりなどでも、「栄養バランス」「運動」「睡眠」について学ぶ機会があります。しかし、学校に通えていない子どもたちは、そうした健康教育の機会に触れることが少ないのが現状です。

 

また、生活リズムが不規則になりやすく、夜型になったり、食事が偏ったり、外で体を動かす時間が減ったりもします。

 

今回の授業では、そんな子どもたちにこそ、「自分の体を大切にする力を知ってほしい」という想いでお話ししました。

 

クイズで学ぶ「生活習慣と体のつながり」

講義は子どもたちが興味を持ってもらえるように、クイズから始めました。

 

「コーラ500mlに角砂糖はいくつ?」 

「ポテチ1袋を消費するには何分歩く?」

 

といった身近なテーマをきっかけに、食事や運動、睡眠が体にどんな影響を与えるのかを一緒に考えました。

 

生活習慣病というのは、“毎日の生活のくせ”が原因で起こる病気です。糖の摂りすぎ、運動不足、夜更かし――それらが少しずつ積み重なって、体の中で変化を起こします。

 

「体は昨日や今日でできたものではありません。今の生活の積み重ねが、未来の体をつくっています。今日の選択が、10年後、20年後の自分をつくるんです。」

 

がんも「生活の延長線上」にある

子どもたちの多くは「がん=突然なる怖い病気」と思っていたのではないかと思います。でも実際には、がんも生活習慣と深く関係しています。

  • タバコ:がんの最大のリスク要因
  • 肥満・食べすぎ:大腸がん・乳がん・肝臓がんのリスクを上げる
  • 運動不足・睡眠不足:免疫力を下げ、がん細胞を抑える力を弱める

 

「がんは“突然の不幸”ではなく、長い時間をかけて少しずつリスクが積み重なっていく病気です。でも、その分だけ“防げるがん”もある。正しい知識が、未来の自分を守る第一歩なんです。」

 

ギフテッドの子どもたちの視点から学ぶ

sparKに通う子どもたちは、学びへの意欲が非常に高く、医療や科学の話にも深い興味を持ってくれました。

 

「なぜコレステロールが高いと動脈硬化がすすむの?」

「なぜ塩分を多くとると血圧が上がるの?」

 

鋭い質問が次々と出て、私自身が刺激を受ける時間でした。また、ギフテッドの子たちは食の偏り(偏食)を抱えている子も多く、食事の楽しみ方や栄養バランスのとり方を一緒に考えることもありました。

 

「教える場のはずが、私のほうが多くを学ばせてもらった」

 

そんな気持ちになる授業でした。

 

医師として「防ぐ医療」を広げたい

私は東京大学病院と聖路加国際病院で糖尿病・内分泌疾患を学び、現在は中央区日本橋にある玉寄クリニックで地域医療に携わっています。

 

診療を通じて日々痛感するのは、

「生活習慣病は、治すことと同じくらい防ぐこもも大事」ということです。

 

正しい知識を知っていれば、行動は必ず変えられます。だからこそ、医療の力を診察室の外にも届けたい。今回の授業は、まさにその第一歩でした。

 

生活習慣は未来の自分へのプレゼント

授業の最後に、私はこう伝えました。

 

「10年後、20年後の自分に“ありがとう”と言ってもらえるように、今から少しずつ生活習慣を見直していきましょう。生活習慣は、未来の自分へのプレゼントです。」

 

 

この言葉に、何人もの生徒がうなずいてくれていたのが印象に残りました。

 

授業の記録とこれから

今回の授業は録画として保存され、後日、子どもたちや保護者が視聴できる形で共有される予定です。一度きりでは終わらない、“いつでも学べる健康教育”として残ることを、とても嬉しく思います。

 

医療は治すだけでなく、未来を守るための学びでもある。その想いを胸に、これからも活動を続けていきます。

 

 

著者紹介:

人形町 水天宮 内科クリニック 医師

玉寄 皓大(たまよせ あきひろ)

  • 日本内科学会認定 内科専門医
  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医
  • 東大病院 糖尿病・代謝内科医局員
  • 聖路加国際病院 内分泌代謝科元常勤医
  • (元)聖路加国際病院Educational  Chief

「私は東大病院と聖路加国際病院で研鑽を積んだ糖尿病専門医として、病気を“治す”ことだけでなく、“防ぐ”ことにも力を注いでいます。糖尿病や生活習慣病になる人を少しでも減らすために、正しい知識をわかりやすく伝えることが私の使命です。医療をもっと身近に、そしてすべての人が健康でいられる社会をつくりたい。そんな想いで日々の診療と啓発活動に取りくんでいます。」

 

 

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