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高齢者の肺炎球菌ワクチン、最初に打つならどれ?|プレベナー20・キャップバックス21を内科専門医が解説

[2026.04.07]

プレベナー20とキャップバックス21を、内科専門医がわかりやすく解説します

「肺炎球菌ワクチンを勧められたけれど、種類が増えてよくわからない」

「65歳になって案内が来たけれど、何を打てばよいの?」

「昔はニューモバックスと聞いたのにいまは違うのを提案された」

 

最近は、このように感じる方が増えています。

 

実際、高齢者の肺炎球菌ワクチンはここ数年で大きく変わりました。

 

2026年4月から、65歳の定期接種で使われるワクチンはこれまでのニューモバックスからプレベナー20に変更になりました。

 

一方で、66歳以上でまだ一度も打ったことがない方では、プレベナー20だけでなくキャップバックス21も任意接種の候補になっています。

 

この記事では、日本内科学会認定内科専門医の立場から、厚生労働省の制度と、日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会ワクチンWG/日本感染症学会ワクチン委員会/日本ワクチン学会・合同委員会が公表した『65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第8版 2026年4月1日)』を参考に、これまで一度も肺炎球菌ワクチンを受けたことがない方の「初回接種」に絞って、できるだけわかりやすく解説します。

 

すでにニューモバックスやプレベナーなどを打ったことがある方の「2回目以降」の考え方は、別記事で解説いたします。

 

この記事でわかること

この記事を読むと、次のことがわかります。

  • 65歳の方が受ける肺炎球菌ワクチン
  • 66歳以上で初めて受ける方の選び方
  • プレベナー20、キャップバックス21、ニューモバックスNPの違い
  • どんな方が医師に相談したほうがよいか

 

まず、いちばん大事な結論です

結論を先にお伝えします。

・65歳の方

 → 定期接種でプレベナー20です。

 

・66歳以上で、これまで一度も肺炎球菌ワクチンを受けたことがない方

 → プレベナー20またはキャップバックス21を相談して決めます。

 

・ニューモバックスNP

 → 昔からよく使われてきたワクチンで、今も大切なワクチンですが、2026年4月から65歳の定期接種の主役ではなくなりました。「以前の中心的ワクチン」として位置づけを整理しておくと理解しやすいです。 

 

とてもシンプルに言うと、

 

・65歳ならプレベナー20。

・66歳以上で初めてならプレベナー20かキャップバックス21。

 

まずは、ここだけ押さえれば大丈夫です。  

 

この図を見ると、全体の流れがひと目でわかります

下の図を見ると、今の日本で高齢者の肺炎球菌ワクチンをどう考えるかが、ひと目でわかります。

(出典:日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会ワクチンWG/日本感染症学会ワクチン委員会/日本ワクチン学会・合同委員会『65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第8版 2026年4月1日)』)

 

少し専門的に見える図ですが、わかりやすく言い換えると、

 

  • まだ一度も打ったことがない65歳の方
    → プレベナー20を「定期接種」で打ちましょう

 

  • まだ一度も打ったことがない66歳以上の方
    → プレベナー20またはキャップバックス21を「任意接種」で打ちましょう

 

  • すでに何かしら打ったことがある方
    → 今回の記事とは別の考え方が必要になります(別記事参照)

 

ということになります。

 

このページの対象(肺炎球菌を一度も打ったことがない)は、図の左側の「未接種者」のうち、65歳の方と66歳以上の方という見方になります。

 

そもそも肺炎球菌ワクチンはなぜ大切なのか

肺炎は、高齢になるほど重くなりやすい病気です。厚生労働省の資料でも、肺炎は日本の死亡原因の上位にあり、成人の肺炎の原因菌として「肺炎球菌」は重要とされています。高齢者では、肺炎そのものが重症化しやすいだけでなく、入院をきっかけに体力が落ち、その後の生活に影響することもあります。 

 

また、厚生労働省は、高齢者の約5〜10%では鼻やのどに肺炎球菌が存在することがあると説明しています。普段は問題なくても、体力や免疫力が落ちたときに肺炎などを起こすことがあります。だからこそ、高齢者では肺炎になってから治すことだけでなく、重い肺炎を予防することがとても大切です。  

 

まずは3つのワクチンの違いをシンプルに整理します

肺炎球菌ワクチンにはいくつか種類がありますが、今回の初回接種で知っておきたいのは次の3つです。

 

プレベナー20

今の65歳の定期接種で使われるワクチンです。正式にはPCV20と呼ばれる結合型ワクチンで、20種類の肺炎球菌の型に対応しています。厚生労働省は、2026年4月から高齢者の定期接種に用いるワクチンをPCV20に変更したと案内しています。 

 

キャップバックス21

66歳以上で初めて打つ方が検討できる新しい選択肢です。正式にはPCV21という名称で、21種類の肺炎球菌の型に対応する結合型ワクチンです。合同委員会文書では、2025年に国内で承認・発売された新しい選択肢として位置づけられています。 

 

▶︎参考記事:【内科専門医が徹底解説】新しい肺炎球菌ワクチン「キャップバックス®(PCV21)」とは?【東京都中央区日本橋人形町】

 

ニューモバックスNP

以前、高齢者の定期接種で中心だったワクチンです。正式にはPPSV23という名称で、23種類の肺炎球菌の型に対応します。長年広く使われてきた重要なワクチンですが、2026年4月からの高齢者定期接種の主役はPCV20へ移りました。 そのため、今の初回接種を考えるときは「昔の主役」として理解するとわかりやすいです。 

 

3つのワクチンを一目で比べるとこうなります

肺炎球菌ワクチンの初回接種で知っておきたいのは、プレベナー20キャップバックス21ニューモバックスNPの3つです。まずは、それぞれの位置づけを表でまとめてみました。

 

肺炎球菌ワクチン比較表(初回接種の方向け)
ワクチン 今の位置づけ 主に考える方
プレベナー20 65歳の定期接種の中心 65歳の方、標準的でわかりやすい選択をしたい方
キャップバックス21 66歳以上の任意接種の新しい選択肢 より広くカバーしたい方
ニューモバックスNP 以前よく使われていたワクチン -

この表で大事なのは、「今の主役はプレベナー20」、「66歳以上ではキャップバックス21も候補」、「ニューモバックスNPは昔の中心的ワクチン」という3点です。

 

日本の専門家もこのように整理しています

高齢者の肺炎球菌ワクチンについては、日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会ワクチンWG/日本感染症学会ワクチン委員会/日本ワクチン学会・合同委員会が、『65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第8版 2026年4月1日)』を公表しています。 

 

少し名前は長いのですが、簡単に言うと、

呼吸器感染症やワクチンの専門家たちが、今の日本で高齢者の肺炎球菌ワクチンをどう考えるかをまとめた文書です。

 

この文書でも、

 

  • 65歳で初めて受ける方は、プレベナー20を定期接種
  • 66歳以上で初めて受ける方は、プレベナー20またはキャップバックス21の任意接種を検討

 

という形で整理されています。

 

65歳の方はどう考えればよいのでしょうか

ここは、あまり複雑に考えなくて大丈夫です。

 

65歳の方は、定期接種としてプレベナー20を受ける。

 

これが基本です。

 

厚生労働省は、定期接種の対象者を65歳の方、または60〜64歳で一定の重い基礎疾患がある方としています。

 

そして、2026年4月から高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種で用いるワクチンはプレベナー20と案内しています。接種回数は1回です。  

 

つまり65歳では、

「ワクチンどれにしようか」と迷う必要はなく、定期接種でプレベナー20を受ける

と理解するのがいちばんわかりやすいです。

 

66歳以上で初めて打つ方は、どう考えればよいのでしょうか

66歳以上で、これまで一度も肺炎球菌ワクチンを打ったことがない方は、「任意接種」になります。ここで、プレベナー20にするか、キャップバックス21にするかを相談します。これは先程の専門家の合同委員会文書に沿った考え方です。

 

ここで多くの方が知りたいのは、「結局どちらがよいのか」だと思います。

 

次のように整理するとわかりやすいです。

 

プレベナー20が向いている方

・わかりやすさを重視したい方

・今の制度に近い標準的な選択をしたい方

・費用とのバランスも大切にしたい方

 (※一般的にプレベナーの方がキャップバックスよりは安価です)

 

キャップバックス21が向いている方

・打つなら、より広く菌をカバーしたい方

・新しい治療選択肢を前向きに検討したい方

 

合同文書では、65歳以上の成人における原因菌の血清型カバー率は、侵襲性肺炎球菌感染症でプレベナー20が約50%、キャップバックス21が約78%、肺炎球菌性肺炎でもプレベナー20が42.8%、キャップバックス21が72.3%と整理されています。文書全体でも、安全性や免疫原性に大きな差はない一方、血清型カバー率はキャップバックス21がさらに高いとされています

 

ですから、

 

66歳以上では、

迷ったらプレベナー20も十分よい選択肢ですが、より広く菌をカバーしたいならキャップバックス21が有力

 

この考え方が、いちばん現実的です。

 

キャップバックス21のほうが、絶対によいのでしょうか

ここは少し慎重に考えたほうが正確です。

 

合同委員会文書では、血清型カバー率はニューモバックス21がプレベナー20より高いとされています。

 

しかし、ワクチン選びはカバー率だけで決まるものではありません。

 

制度、費用、入手しやすさ、医療機関での扱い、ご本人が何を重視するかなど、現実にはいくつかの要素を一緒に見ます。

 

そのため、

 

「キャップバックス21のほうが絶対に正しい」ではなく、何を重視するかで選ぶ

 

と理解するのが適切と思います。

 

ニューモバックスNPはもう関係ないのでしょうか

そういうわけではありません。

 

ニューモバックスNPは、長年使われてきた大切な肺炎球菌ワクチンです。以前は高齢者の定期接種の中心でしたし、今も接種歴の確認ではとても重要です。

 

厚生労働省の報告でも、23種類の血清型に効果があること、また侵襲性肺炎球菌感染症を4割程度予防することなどが案内されていました。 

 

ただし、初回接種について今の制度を考えるなら、「昔の主役はニューモバックスNP、今の65歳の定期接種の主役はプレベナー20」と整理するとわかりやすいです。 

 

今回の記事では肺炎球菌の「初回接種」に絞っているので、ニューモバックスNPは背景を理解するための重要なワクチンとして位置づけておくのがちょうどよいです。

 

副反応はありますか

あります。

 

ただし、多くは接種した部位の痛みや腫れ、だるさ、筋肉痛、頭痛など、比較的よくある範囲のものです。

 

厚生労働省はプレベナー20の副反応として、注射部位の疼痛・圧痛、筋肉痛、頭痛、疲労などを挙げています。まれですが、重いアレルギー反応などに注意が必要とも案内しています。

 

合同文書では、プレベナー21もキャップバックス20との比較試験で安全性に明らかな差は認められなかったとされています。

 

私は診察の際は、

「注射したところの痛みやだるさは比較的よくあります。多くは数日でおさまりますが、強い息苦しさやじんましんなどがあればすぐ相談してください」

といつもお伝えしています。

 

こんな方は医師に相談してください

次のような方は、接種前に確認が必要です。

  • 当日発熱している方
  • ワクチンで強いアレルギーを起こしたことがある方
  • 持病が多く、接種してよいか不安な方
  • 以前に肺炎球菌ワクチンを打った可能性がある方

厚生労働省は、発熱している方や重い急性疾患のある方は接種を受けられないことがあり、また一定のアレルギー歴や基礎疾患がある方は事前に医師へ相談が必要と案内しています。

 

さらに、「前に何か肺炎球菌のワクチンを打った気がする」という方には、今回の初回接種の記事とは別の考え方が必要になる可能性があります。 今回の記事は肺炎球菌初回接種の方向けです。すでに何かしら肺炎球菌ワクチンを受けたことがある、いわゆる2回目以降の接種の考え方は、別記事で詳しく扱っております。

 

まとめ

高齢者の肺炎球菌ワクチン初回接種は、難しく考えすぎなくて大丈夫です。

  • 65歳なら、定期接種でプレベナー20
  • 66歳以上で初めてなら、プレベナー20かキャップバックス21を相談
  • ニューモバックスNPは、以前の中心的ワクチンとして知っておくとわかりやすい

そして、この考え方は、厚生労働省の制度と、日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会ワクチンWG/日本感染症学会ワクチン委員会/日本ワクチン学会・合同委員会『65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第8版 2026年4月1日)』の両方に沿っています。 

 

肺炎は、高齢になるほど予防の意味が大きくなります。

 

「自分はどれを打てばよいのだろう」と迷ったら、まずは年齢とこれまでの接種歴を確認して、主治医に相談してみてください。

 

 

▶︎著者・監修紹介: 

玉寄クリニック副院長

玉寄 皓大(たまよせあきひろ)

  • 日本内科学会認定 内科専門医
  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医

東京大学病院・聖路加国際病院で研鑽を積んだ内科専門医。現在は中央区日本橋にて、地域の皆さまに「わかりやすく噛み砕いた説明」と「安心できる医療」を届けることを大切にしています。高齢者の肺炎球菌ワクチンは、制度もワクチンの種類も変わってきているため、一般の方にはわかりにくいテーマです。だからこそ、制度を正確にお伝えしつつ、「自分はどうすればよいのか」がすぐわかる形で説明することが大切だと考えています。

 

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