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NHKで話題の「The Japan Diet」とは?/コレステロールを下げる食事法を内分泌代謝専門医がわかりやすく解説

[2026.02.26]

NHKで話題の「The Japan Diet」とは?

2026年2月26日のNHK「あしたが変わるトリセツショー」で、コレステロールを下げる食事法として「The Japan Diet」が取り上げられ、気になった方も多いのではないでしょうか。

 

健康診断で LDLコレステロール や 中性脂肪 の異常を指摘されると、多くの方がまず悩むのが「結局、何を食べればいいのか」ということです。

 

「卵は控えたほうがいいのか」

「肉はやめるべきなのか」

「和食なら何でもいいのか」

 

ネットには情報が多い一方で、かえって分かりにくくなってしまうことも少なくありません。

 

The Japan Dietは、「日本動脈硬化学会」が一般向けに紹介している食事の考え方です。

 

 

動脈硬化予防のために、減塩した日本食パターンを基本に、主食・主菜・副菜をそろえながら、魚、大豆・大豆製品、野菜、海藻、きのこ、こんにゃく、未精製穀類を増やし、肉の脂身、動物脂、甘い飲み物、お菓子、アルコールを控える、というのが柱です。 

 

このブログでは、NHKで話題になった内容をきっかけに、内分泌代謝専門医の立場から、The Japan Dietを患者さんが今日から使える知識」として整理します。

 

結論:The Japan Diet は「和食っぽい食事」ではなく、「動脈硬化予防のために整えた食べ方」です

The Japan Diet のポイントは、難しくありません。大きく言うと、次の5つです。

 

  1. 肉の脂身、動物脂、甘い飲み物、お菓子、アルコールを控える
  2. 魚、大豆・大豆製品、野菜、海藻、きのこ、こんにゃくを増やす
  3. 白いごはん・白いパン・白い麺ばかりに偏らず、未精製穀類や雑穀・麦を取り入れる
  4. 甘味の少ない果物と乳製品は適度にとる
  5. 減塩して薄味にする  

 

(※日本動脈硬化学会の一般向け公開資料を参考に、当院で作成)

 

つまり、「これを食べれば一発で下がる」という魔法の食品を探すのではなく、普段の食べ方全体を、コレステロールが上がりにくい方向へ整える食事法です 

 

「和食なら何でもいい」という意味ではありません

The Japan Diet は「和食を食べましょう」という話に見えますが、正確には少し違います。

 

日本動脈硬化学会が勧めているのは、「減塩した日本食パターン」です。

 

塩分が多い和食、揚げ物中心の食事、魚より肉が多い“和風メニュー”は、そのままでは 「The Japan Diet」とは言えません。 

 

逆に言えば、洋風の料理でも、魚や大豆、野菜、未精製穀類をうまく組み合わせ、脂身の多い肉や生クリーム、菓子類を控えれば、「The Japan Diet 」の考え方に近づけることができます。

 

なぜコレステロール改善に役立つの?

The Japan Diet が優れているのは、「特別な健康食品を足す」というより、LDLコレステロールを"上げやすい"食べ物を、"下がりやすい"食べ物に置き換えやすい点です。

 

たとえば、

  • 脂身の多い肉や動物脂を減らし、魚や大豆に置き換える
  • 野菜、海藻、きのこ、こんにゃくを増やして、食物繊維をしっかりとる
  • 白い穀類ばかりでなく、麦や雑穀、玄米などを取り入れる
  • 甘い飲み物やお菓子、アルコールを控える

 

こうした積み重ねが、LDLコレステロールや中性脂肪の改善につながります。日本動脈硬化学会の一般向けQ&Aでも、LDLコレステロールを下げるために、食物繊維の多い食品、青背の魚、大豆を増やし、脂身の多い肉、バター、生クリーム、洋菓子などを控えるよう案内しています。 

 

具体的に「増やしたい食品」と「控えたい食品」

患者さんが一番知りたいのは、ここだと思います。

 

増やしたい食品
  • 魚(特に青背魚)
  • 大豆・大豆製品(納豆、豆腐、高野豆腐など)
  • 緑黄色野菜、その他の野菜
  • 海藻、きのこ、こんにゃく
  • 未精製穀類、雑穀、麦
  • 甘味の少ない果物
  • 乳製品(適度に)  

 

控えたい食品
  • 肉の脂身
  • 動物脂
  • 加工肉
  • 生クリーム、ナチュラルチーズ
  • 菓子類
  • 甘い飲み物
  • アルコール
  • 内臓類、卵黄  

 

(※日本動脈硬化学会の一般向け公開資料を参考に、当院で作成)

 

ここで大切なのは、「食べてはいけないもの」を探すことではありません。日常でよく食べているものを、少しずつ見直していくことが大切です。

 

卵はどう考えればいいの?

ここは診察でもとてもよく聞かれるところです。「卵は何個までですか?」という質問は、本当に多いです。

 

結論から言うと、LDLコレステロールが高い方では、卵の食べ方にも気を配ったほうがよいです。

 

LDLコレステロールが高い人は、1日のコレステロール摂取量を200mg未満を目標に、と示されていますが、Mサイズの卵1個でコレステロールが200mg以上あるとされているため、LDLコレステロールが高い方では、卵を何個も気軽に食べるのは勧めにくい、ということになります。

 

ただし、ここで大事なのは「卵だけを悪者にしない」ことです。

 

LDLコレステロールを上げやすい食事は、卵だけで決まるわけではありません。脂身の多い肉、バター、生クリーム、洋菓子などに多い飽和脂肪酸も、LDLコレステロールに大きく関わります。

 

そのため、

 

「卵だけを厳しく我慢する」

 

のではなく、

 

「卵の量には気をつけつつ、脂身の多い肉や乳脂肪、お菓子や甘い飲み物も含めて、食事全体を整える」

 

という考え方のほうが、現実的で長続きしやすいです。

 

食事の組み立ては「主食・主菜・副菜・汁」で考えると分かりやすい

The Japan Diet の良いところは、献立の考え方がシンプルなことです。

 

代表的な組み合わせとして「主食・主菜・副菜・汁」をそろえる考え方が紹介されています。主菜は魚、大豆・大豆製品、脂の少ない肉、卵を偏りなく、副菜は野菜・海藻・きのこ・こんにゃくをしっかりとることが勧められています。 

 

難しく考えずに言うと、

  • 主食:ごはん、麦ごはん、雑穀ごはん、そば など
  • 主菜:魚、豆腐、納豆、脂の少ない肉
  • 副菜:野菜のおかず、海藻、きのこ、こんにゃく
  • 汁:味噌汁やスープ(塩分は控えめに)

この形を意識するだけでも、かなり整いやすくなります。 

 

今日から始めるなら、この3つから

全部を一気に変える必要はありません。

まずはこの3つで十分です。

 

1. 肉料理を週2〜3回、魚か大豆メインに置き換える

脂身の多い肉を減らし、魚や豆腐、納豆を増やすだけでも方向性はかなり良くなります。

 

2. 白い主食ばかりにせず、麦や雑穀を混ぜる

未精製穀類や雑穀・麦を増やすことが勧められています。毎日玄米でなくても、白米に麦を少し混ぜるだけで十分スタートになります。 

 

3. 毎食、野菜+海藻かきのこを1つ足す

副菜を増やす意識がつくと、自然に全体のバランスが整います。 

 

よくある質問

Q1. The Japan Diet は和食しかダメですか?

A1.いいえ。和風以外の料理でも、魚、大豆、野菜、未精製穀類を増やし、脂身の多い肉や菓子類を控える形なら、The Japan Diet の考え方に沿えます。 

 

Q2. チーズやヨーグルトは全部ダメですか?

A2.全部ダメではありません。乳製品は適度にとる考え方ですが、生クリームやナチュラルチーズは控えたい食品として挙げられています。量と頻度が大切です。 

 

Q3. お酒はどれくらいまで?

A3.アルコールは控える食品として挙げられ、純アルコール25g以下の目安も示されています。中性脂肪が高い方は、特に見直しが大事です。 

 

Q4. 食事だけで下がらないときは?

A4.食事療法はとても大切ですが、それだけで十分に下がらない方もいます。とくにLDLコレステロールが高い方では、体質や遺伝、持病の影響もあるため、必要に応じて薬物療法も考えます。食事療法が無意味ということではなく、「食事と治療を両輪で考える」ということです。 

 

Q5. The Japan Diet は中性脂肪にも役立ちますか?

A5.はい。The Japan Diet は、甘い飲み物、菓子類、アルコールを控える内容を含んでおり、中性脂肪が高い方にも理にかなった食べ方です。 

 

Q6. どれくらい続ければいいですか?

A6.The Japan Diet は短期のイベント食ではなく、動脈硬化予防のための“続ける食べ方”です。数日で結論を出すのではなく、数か月単位で無理なく続けるのが大切です。これは学会が一般向けに「毎日少しの心がけを加えて食事を楽しみましょう」と案内している姿勢にも合っています。 

 

まとめ

The Japan Diet は、流行の食事法というより、日本動脈硬化学会が動脈硬化予防のために勧めている、続けやすい食べ方の型です。 

ポイントは、

  • 魚、大豆、野菜、海藻、きのこ、こんにゃく、未精製穀類を増やす
  • 肉の脂身、動物脂、菓子類、甘い飲み物、アルコールを控える
  • 和食らしさよりも「減塩」「脂の質」「食物繊維」を意識する

ことです。 

 

NHKで話題になったことをきっかけに興味を持った方も多いと思いますが、大切なのは「流行だから試す」ことではなく、自分のコレステロールや中性脂肪の状態に合わせて、続けやすい形に落とし込むことです。

 

当院のある東京都中央区日本橋周辺で、健診異常をきっかけに脂質異常症についてどこに相談すればよいか迷う方は、健診結果をお持ちください。

 

初診・転院・セカンドオピニオンのご案内

玉寄クリニックでは、目的に合わせて次の3つの形でご相談いただけます。当院の脂質異常症外来の詳細はこちらから。

 

① 初診(健診でコレステロール高値を指摘された方)

健康診断・人間ドックの結果をお持ちください。数値の意味と背景を一緒に整理します。

 

② 転院(当院での継続治療をご希望の方)

他院で治療中の方で、当院へ転院して継続治療をご希望の場合は受診可能です。紹介状や直近の採血結果があるとスムーズです。

 

③ セカンドオピニオン(今の主治医は変えずに相談したい方)

「治療方針が腑に落ちない」「薬や検査について整理したい」など、当院にも一度相談したい方は、自費診療のセカンドオピニオンとして対応可能です。

 

いずれの初診(①〜③)も、健診結果を確認し、背景まで整理するため、お電話による予約制となります。

 

電話:03-3661-5555

受付:9:00–12:20/14:30–17:50

住所:東京都中央区日本橋人形町1丁目12−11

 

 

▶︎参考にした情報:

・日本動脈硬化学会「The Japan Diet 食生活を見直しましょう」

・日本動脈硬化学会「The Japan Diet ダイジェスト版」

・日本動脈硬化学会「コレステロール摂取に関するQ&A」

 

▶︎人形町・水天宮前で内科をお探しの方へ:一般内科(総合内科)のご案内はこちら

 

▶︎著者紹介: 

人形町 水天宮 内科クリニック 医師

玉寄 皓大(たまよせ あきひろ)

  • 日本内科学会認定 内科専門医
  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医

東大病院・聖路加国際病院で内分泌・代謝疾患の診療に従事。現在は東京都中央区日本橋で脂質異常症などの代謝疾患の専門外来を担当。「数字ではなく“納得できる説明”を提供する医療」をモットーに、脂質異常症や糖尿病を丁寧に啓蒙することをライフワークとしている。

 

 

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