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"隠れた1型糖尿病"を見つける

[2020.08.02]

当院のホームページをご覧いただきありがとうございます。

 

今日はあまり聞き慣れない"隠れた1型糖尿病"のお話です。結論から先にお話ししてしまうと、「普通の糖尿病の中に珍しい糖尿病が隠れていることがあります」というお話しです。

 

糖尿病というと、運動不足や食べすぎなどが原因でなる病気だと思われていますが、そうではないタイプもあることをご存知でしょうか?

 

糖尿病は大きく2つのタイプに分かれます。

"型糖尿病""型糖尿病"です。

(それ以外に妊娠糖尿病や二次性糖尿病などもありますが、それは後日お話しします。)

 

運動不足や食べすぎなどが原因で血糖値が高くなるいわゆる"一般的な糖尿病"のイメージがこの2型糖尿病にあたり、糖尿病の90%以上はこのタイプになります。

 

それに対して1型糖尿病は糖尿病の中で頻度は少なく治療も難しいため、糖尿病の専門施設や専門医が診ることが多く一般的なクリニックでは診ることは少ないですが、決して見逃してはいけない重要な病気です。

 

型糖尿病は2型とは異なり、"自己免疫異常"が原因で起こると言われています。

 

免疫とは身体の外から入ってきた異物から身体を守る作用のことですが、稀に自分の身体を異物と勘違いして免疫が反応してしまうことがあります。それが"自己免疫異常"です。

 

人間の身体の中には沢山のホルモンがありますが、血糖を下げるホルモンは身体の中で唯一、膵臓が作り出すインスリンのみです。

 

先程お話しした、"自己免疫異常"により、自分の膵臓が攻撃されると、膵臓からインスリンが出なくなり、身体の外からインスリンを補ってあげなくてはならなくなります。そのため、1型糖尿病の方はインスリン治療が必要になります。

 

この1型糖尿病は、発症のタイプから

①劇症1型糖尿病

②急性発症1型糖尿病

③緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)

の3つに大きく分類されます。

 

①、②は発症したときに高血糖による症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)がはっきり出ることが多く、また糖尿病ケトーシスやケトアシドーシスなど重症化しやすいため、ゆっくり進行していくいわゆる普通の糖尿病(=2型糖尿病)とは区別はしやすいです。

 

一方、③の緩徐進行1型糖尿病は名前の通りゆっくり進行していくため、2型糖尿病と区別がつきにくく、そのため2型糖尿病として治療されているケースが実は多かったりします。

これがタイトルの"隠れた1型糖尿病"にあたります。

 

この"隠れた1型糖尿病"はゆっくり進行していくため、最初はインスリンではなく内服薬でそれなりにコントロールできるのですが、やはり1型ですのでいずれインスリンが必要になります。また、Tokyo Studyという臨床研究により、早期にインスリン治療を開始した方が膵臓を保護する効果があるという結果が出ており、インスリン治療をためらわらないことも大事だと言われています。

 

糖尿病が悪くなって私の元に御紹介頂いた患者様で、調べてみると、この"隠れ1型糖尿病"であった方が何人かいらっしゃいます。こうした患者様は1型糖尿病の素因をお持ちのため、いずれインスリンが必須になる可能性が高く、より注意しながら診察する必要があります。

 

いずれにせよ正しく診断し、血糖コントロールを適切に行えば、糖尿病の合併症の進行も防ぐことができ、健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)の維持と健康寿命を確保することができます。

 

まずは正しく診断することから始めて行きましょう!

 

最近生活習慣を変えていないのに血糖値やHbA1cが悪化してきてしまっている方、糖尿病と診断はされたものの1型か2型か調べたことがない方など、ぜひ当院の糖尿病外来に一度お越し頂き、検査の是非も含めてご相談ください。

 

中央区日本橋人形町1-12-11

玉寄クリニック 

糖尿病内科 医師  玉寄 皓大 

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