メニュー

糖尿病の運動療法

◆運動療法

ここでは糖尿病の治療の3本柱である「食事療法」、「運動療法」、「薬物治療」の中から「運動療法」について詳しく説明したいと思います。

 

◆主な運動療法の効果

●血液中の糖が筋肉に取り込まれるので、血糖値が下がります

●エネルギ―消費が増えることで、肥満の抑制につながり、インスリンも効きやすくなります

●高血圧や脂質異常症の改善にもつながります

●筋肉が増えることでインスリンの働きが高まります

●血液循環が改善し、全体的に健康増進につながる

●ストレス解消になる

●筋肉や関節、骨が丈夫になり骨粗鬆症予防にもなります

●有酸素運動を定期的に行うと、2型糖尿病ではHbA1cが約0.7%下がることが報告されています。

 

◆運動内容

糖尿病の運動療法として、「有酸素運動」、「レジスタンス運動」の2種類が推奨されています。有酸素運動とは、ジョギングやウォーキング、水泳など全身を使った運動です。レジスタンス運動とは、いわゆる筋トレのことで、腕立て伏せや腹筋、もしくはダンベルなどで特定の筋肉に負荷をかける運動です。筋トレで筋肉を増やし、インスリンの効果を高め、有酸素運動で筋肉への血流を増加させ、糖を筋肉に取り込むことで、血糖の改善が期待できます。具体的には1日160-250kcalの消費エネルギーが理想とされていますが、これを散歩に換算すると1万歩にあたり、かなりハードルが高くなってしまうので、まとめて1万歩ではなく、15分から30分程度の散歩を1日2回、もしくは1週間に3日、30分程度散歩してみるといった具合で始めてみるのが良いと思われます。何よりもまずは長く継続することが大事です。いきなりハードルを上げず、少しずつ習慣を変えていきましょう。

 

参考までに、100kcalを消費するのに必要な運動と所要時間を記載しておきます

※消費エネルギー100kcal

 ・軽い散歩:30分程度

 ・早歩き:25分前後

 ・自転車:20分前後

 ・テニス:10分前後

 ・水泳(クロール):5分前後

 

◆運動療法を行う前の注意

糖尿病の患者様の中には、運動療法を行ってはいけない方がいらっしゃいます。運動をする前には必ず医師に確認をするようにしてください。当院でも運動療法を行う前には必ず、運動を行ってはならない状態がないかを確認しております。

 ①運動療法を行ってはいけないケース

 ・眼底出血あるいは出血の可能性が高い網膜症が存在する場合

 ・レーザー光凝固後、3-6か月以内の網膜症

 ・糖尿病性腎症第3B期以降の方

 ・心筋梗塞など重篤な心血管系障害がある方

 ・高度の糖尿病性自律神経障害がある方

 ・1型糖尿病でケトーシスがある場合

 ・血糖コントロールが極めて悪い場合(空腹時血糖250mg/dl以上、または尿中ケトン体中等度以上陽性) 

 ・急性感染症を発症している場合

 ②運動を制限した方がよい場合

 ・単純網膜症がある場合

 ・重度の高血圧がある場合(収縮期血圧180以上、拡張期血圧110以上)

 ・骨・関節疾患など整形外科的問題がある場合(特に肥満の方やご高齢の方)

 ・糖尿病足壊疽がある場合

 

上記を参考に運動療法に取り組んでみてください。

 

 

玉寄クリニック 

副院長/糖尿病専門医

玉寄皓大

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME