糖尿病の食事療法
食事療法
糖尿病の治療の3本柱は「食事療法」、「運動療法」、「薬物療法」です。ここではその要といっても過言ではない、「食事療法」について詳しく説明していきます。
食事の摂り方について
●1日3食規則正しく(まとめ食いは高血糖の原因になります)
●主食(ご飯、パン、麺)、主菜(肉、魚、卵、大豆)、副菜(野菜、海藻、キノコなど)を揃え、バランス良く食べる
●野菜から先に食べる(血糖値の上昇が緩やかになります)
●主食は適量(女性なら軽く1杯半、男性なら軽く2杯程度まで)
●食べすぎに注意、腹8分目を心がける
●油ものやデザートはカロリーが高いのでなるべく控える(食べる時はルールを決めて)
●外食だと油や塩分が多いので注意する
●アルコールは程々に(糖尿病治療中の方はアルコール摂取後に低血糖をきたしやすくなることがあります)
●早食いをしない(早食いは満腹になる前にたくさん食べてしまうので、カロリーの摂りすぎにつながります)
●ゆっくりよく噛んで食べる
●間食もなるべく控えましょう
●寝る前2時間は食べるのをやめましょう
●甘い飲み物は控える
食事療法の基本
食事療法の基本的な考え方は、以下の2つです。
①適切なカロリーを過不足なく摂る
(※カロリーの摂りすぎは勿論ですが、極端に摂らないこともよくないです)
②必要な栄養素をバランスよく摂る
適切な摂取カロリーについて
1日に摂るべき適切な摂取カロリーは、身長や体重、日常生活の活動量、年齢などから総合的に判断します。一般的な適切な摂取カロリーの計算方法をご紹介します。
エネルギー必要量(kcal/日)
=目標体重×身体活動
※ 目標体重(kg):身長(m)×身長(m)×22
※ 身体活動量:
体を動かす程度によって異なる
〈目安〉
軽労作(デスクワークなど):25
普通の労作(立ち仕事など):30
重労作(力仕事などが多い職業):35
例えば、身長160cmでデスクワークの会社員さんだとすると、
エネルギー必要量
=目標体重×身体活動量
=(1.6×1.6×22)×25
=1400kcal/日
となり、1日に必要な適正なカロリーは1400kcal程度だとわかります。適正な摂取カロリーがわかった後は、そのカロリーをバランスよく各栄養素に配分します。
必要な栄養素をバランスよく
エネルギーのもととなる三大栄養素は、炭水化物・たんぱく質・脂質です。また、骨や歯の材料となるのは、カルシウムなどのミネラルです。身体の働きを正常に保つためにも、鉄・亜鉛など様々なミネラルやビタミンなども必要です。一般的には主食である炭水化物で摂取カロリーの40-60%、たんぱく質を摂取カロリーの20%程度まで、残りを脂質で摂るというのがバランスの良い食事と言われています。なお、糖尿病の合併症である糖尿病性腎症がある方や腎機能の悪い方はたんぱく質やカリウムなど別の注意点もありますので主治医にご確認ください。
玉寄クリニック 副院長
聖路加国際病院 内分泌・代謝科
玉寄 皓大