頭痛
頭痛について
◆「怖い頭痛」、「怖くない頭痛」
日々忙しく生活されている皆様の多くが、これまで何らかの頭痛を経験されてきていると思います。生活にほとんど差し支えのない頭痛から、仕事や家事もままならなくなるきつい頭痛、動けなくなるほどの激しい頭痛・・・・
いずれにしても気がつくと良くなっていて、「頭痛なんて放っていてもまあ大丈夫だろう」とは思っていませんか?確かに、実際多くの頭痛は「怖くない頭痛」にあたります。ただし、稀に怖い病気の前兆や症状であったりする「怖い頭痛」も潜んでいることがあります。この「怖い頭痛」とはくも膜下出血や脳出血などが原因で引き起こされ、命を脅かす可能性もある頭痛です。以下に記載しているような症状がある頭痛は「怖い頭痛」である可能性があるため要注意です。早急に医療機関を受診しましょう。
≪怖い頭痛の可能性がある症状≫
●「突然起こる」、「人生最大の痛み」、「いつもの頭痛とは様子が違う」頭痛
●「言語障害」、「視野障害」、「運動障害・感覚障害」を伴う頭痛
●「癌や免疫不全のある方」の頭痛
●「発熱+首が前に曲げにくい(髄膜刺激徴候)」を伴う頭痛
◆頭痛の種類
原因は多岐にわたります。痛みの原因が何であるかをしっかりと判別する必要があります。頭痛は大きく二つに分けられ、頭痛以外特に目立つ症状がない「一次性頭痛」(怖くない頭痛に当たります)、何か病気が存在しその症状の一つとして頭痛がみられる「二次性頭痛」(怖い頭痛に当たります)の2つに大きく分類されます。
◆一次性頭痛(怖くない頭痛)
いわゆる「頭痛持ち」の方の頭痛です。日本人の3-4人に1人(約3000万人)に相当します。
一次性頭痛は下記の三つのタイプが代表的です。
①片頭痛
②緊張型頭痛
③群発頭痛
①片頭痛
慢性頭痛の治療の中心となるのは、生活に支障が出やすい片頭痛です。
≪症状≫
・脈打つようなズキンズキンとした痛み
・頭痛発作が月に1回から数回起こる
・吐き気や嘔吐を伴うこともある
・光や音、臭いに敏感になる
・目の前が眩しくチカチカして見えづらくなるという現象(閃輝暗点)
・比較的女性に多い
・日常のちょっとした動きでも頭痛が悪化する
≪治療≫
片頭痛治療の目標は「日常生活が可能な状態に戻る」ことです。薬を使う場合は消炎鎮痛薬やトリプタン系薬剤が代表的で、これらは頭が痛い時に服用する薬です。この他、頭痛回数が多い場合などは、痛みの有る無しに関係なく毎日薬をのんで頭痛を起こさないように予防することもあります。これは片頭痛が長期化すると脳が過敏状態になり頭痛が治りづらくなるので、予防薬をのむことで頭痛を軽くすることが目的です。予防薬をのみながら、頭痛発作に対して鎮痛薬やトリプタン系薬剤で速やかに頭痛を改善させます。
②緊張型頭痛
デスクワークの方に多い頭痛です。
≪症状≫
・頭の両側がギュ-ッと締めつけられるような頭痛
・頭痛は数十分から数日間続く
・吐き気、嘔吐は少ない
・1日のうちでは午後から夕方に症状が強く出る
・パソコンの作業や前かがみの時間が長い仕事など長時間同じ姿勢を続けることで首や肩のコリを伴うことが多い頭痛
≪治療≫
治療は消炎鎮痛薬が多く使用されますが、後述しますが消炎鎮痛薬を長い期間に渡って長期使用することのよって生じる頭痛の発症には注意が必要です。筋緊張が強い場合は筋緊張を緩和し血行を改善させる作用のある薬を内服すると効果的です。また、パソコンに向かう時間が長い人は肩甲骨周囲をほぐすようなストレッチを行うことが大切です。
③群発頭痛
頻度は稀な頭痛です。
≪症状≫
・片側の目の奥に「えぐられるような痛み」
・痛みは数日から数か月続く
・目の充血、涙、鼻水・鼻づまりなどの症状をしばしば伴う
・夜間から明け方に頭痛発作が多い
・アルコールで痛みを誘発
・比較的男性に多い
≪治療≫
治療は、一般の鎮痛剤はほとんど効果がなく、酸素吸入と片頭痛の特効薬であるトリプタン製剤が唯一効果を発揮します。
また、痛みが非常に強い期間が長い間は、片頭痛と同様に予防薬を使用します。
◆二次性頭痛(怖い頭痛)
頭や体に病気があって起こる病気のことです。特徴をひとことで言えば「いつもとちがう頭痛」で、命に関わる場合もあり必要です。
代表的な病気を御紹介致します。
●クモ膜下出血
●解離性動脈瘤
●脳腫瘍
●髄膜炎
◆その他の頭痛
●薬剤の使用過多による頭痛
片頭痛あるいは緊張型頭痛ちの患者様が、頭痛薬を頻繁に飲んで痛みを抑えることを繰り返していると、痛みに対し敏感になってしまい頭痛薬が手放。この状態を薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)といいます。薬の過剰服用が引き金となり、痛みの閾値が下がってしまうことが原因と考えられています。
3ヶ月を越えて、1か月に10回以上定期的に頭痛薬を服用していらっしゃる方は、一度ご相談下さい。
●その他(眼科、耳鼻科領域)
副鼻腔炎・蓄膿症、緑内障、顎関節症なども頭痛の原因となりますので、必要の際は各専門医へご紹介いたします。
◆診察において
これまでにお話しした通り、頭痛の原因は多岐に渡り、それぞれについて緊急性も治療内容も異なります。そのため、頭痛に関して詳しい問診を行うことで総合的に頭痛の原因を探っていきます。痛みをとるだけではなく、頭痛を引き起こすもの(誘発因子)にも注目し、頭痛を予防することにも尽力致します。
◆生活習慣の見直しも
生活習慣を規則正しくすることで頭痛の回数を減らすことができます。また、お薬の飲みすぎで逆に頭痛を引き起こす「薬物乱用頭痛」も実際かなりいらっしゃいます。頭痛が起きていないときには鎮痛薬を予防的に飲む、ということはしないようにしましょう。予防したい方には医師が処方する予防専用の薬を服用するようにしましょう。
◆最後に
頭痛の原因は患者様によって様々ですが、まずはその頭痛が命に関わるもの(怖い頭痛)ではないかを見極め、
そうでない場合(怖くない頭痛)は大部分には有効な治療法がありますので、適切に治療および生活改善のアドバイスを行います。
頭痛でお悩みの方は、是非当院へご相談ください。
玉寄クリニック
副院長・内科専門医 玉寄皓大