【中性脂肪が高い原因は?】食べすぎ・飲みすぎだけじゃない意外な落とし穴|代謝専門医がわかりやすく解説
はじめに
健康診断で「中性脂肪が高いですね」と言われると、多くの方が「最近ちょっと飲みすぎたかな」「油っこいもの食べすぎたかも」と思いがちです。
もちろんそれも大切な原因のひとつですが──実は、中性脂肪が高くなる背景には、意外な“落とし穴”が隠れていることもあります。
今回は、中性脂肪が高くなる理由を、「食べすぎ・飲みすぎ」だけに限定せず、内分泌代謝専門医・糖尿病専門医の視点でわかりやすく解説したいと思います。
目次
- 中性脂肪(トリグリセライド)とは?役割と基準値
- よくある原因①:糖質の摂りすぎ
- よくある原因②:アルコール(特にビール・日本酒)
- 意外な原因①:朝食抜きとドカ食い
- 意外な原因②:内臓脂肪とインスリン抵抗性
- 専門医の視点:数値だけでなく“背景”を見ることが大切
1. 中性脂肪(トリグリセライド)とは?役割と基準値
中性脂肪は、体のエネルギー源として重要な脂質です。ただし、血液中に多すぎると、動脈硬化や脂肪肝、急性膵炎などのリスクにつながります。
項目 | 正常値(空腹時) | 高値(空腹時) |
中性脂肪 | <150mg/dl | ≧150mg/dl |
2. よくある原因①:糖質の摂りすぎ
中性脂肪は名前の通り「脂(あぶら)」ですが、実は糖質の摂りすぎが大きく影響します。
白米、パン、麺類、甘いお菓子、清涼飲料水などを多く摂ると…余った糖が肝臓で中性脂肪に変換され、血液中に放出されます。
特に「夜遅くに炭水化物をたくさん摂る」習慣がある方は要注意です。
3. よくある原因②:アルコール(特にビール・日本酒)
アルコールも肝臓で中性脂肪の合成を促進します。中でもビールや日本酒は糖質も多く含むため、中性脂肪を上げやすい飲み物です。
- 晩酌+おつまみ(脂質+糖質)=中性脂肪に直結
- 「休肝日をつくる」「1日の量を明確にする」などの工夫が有効です
4. 意外な原因①:朝食抜きとドカ食い
朝食を食べていないはずなのに、下手したら昼も食べていないのに中性脂肪が高い…
実は、「朝食抜き+昼夜のドカ食い」が中性脂肪の増加を引き起こします。
- 空腹時間が長いと、肝臓が脂肪を多く作り出します
- 食後の血糖・インスリンが乱れ、脂質代謝にも影響します
「規則正しく3食食べる」ことは、見落とされがちですが非常に大切な対策です。
5. 意外な原因②:内臓脂肪とインスリン抵抗性
「見た目はそんなに太ってないのに、中性脂肪が高い」──そんな方に多いのが「内臓脂肪型肥満」です。
- 内臓脂肪が増えると、インスリンの効きが悪くなり(=インスリン抵抗性)
- 体は血糖と一緒に脂肪もためこもうとします
- その結果、中性脂肪も高くなりやすくなるのです
特に「やせ型でもお腹だけぽっこり」している方は、この傾向があります。
6. 専門医の視点:数値だけでなく“背景”を見ることが大切
中性脂肪は、単なる「食べすぎ」「飲みすぎ」だけでなく、
- 食事のリズム
- 糖質やアルコールの種類
- 肝臓や脂肪の代謝状態
- インスリンの効き具合
など、さまざまな“生活の積み重ね”が反映された値です。内分泌代謝専門医かつ糖尿病専門医として私が大切にしているのは、数字の背後にある生活や体のサインを読み取り、その人に合った改善策を一緒に見つけていくことです。
著者紹介:
玉寄 皓大(たまよせ あきひろ)
- 日本内科学会認定 内科専門医
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
- 日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医
東大病院・聖路加国際病院で内分泌疾患・生活習慣病の診療に携わり、現在は東京都中央区日本橋のクリニックで糖尿病専門医・内分泌代謝専門医として日々の診療と情報発信に取り組んでいます。