【糖尿病専門医が解説】血糖スパイクはこう防ぐ! 血糖モニタリング外来でわかったリアルな日常の落とし穴
はじめに
「血糖スパイク」という言葉を聞いたことはありますか?
これは、空腹時血糖は正常でも、食後に血糖が急上昇する現象のことです。
見た目は健康でも、「血糖スパイク」があると、動脈硬化や老化のリスクが知らないうちに積み重なっていきます。
今回は、当院の「血糖モニタリング外来」で実際に見えてきた、“血糖が乱れる意外なタイミング”をご紹介します。
朝食を食べた日 vs 食べなかった日 ― 血糖はどう動いた?
①朝食ありの場合
昼ごはん後、血糖は90→130mg/dLほどにゆるやかに上昇し、しっかり下がっていきました。血糖スパイクは起きていません。
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②朝食なしの場合
昼ごはん後、180mg/dLまで急上昇。その後も血糖が下がりにくい状態が続きました。
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③結論
朝食を食べた場合の方が昼食後の血糖の上昇を抑えることができます。
(→朝ごはんは食べましょう!)
運動した日 vs しなかった日 ― 食後の血糖の違い
①食後に少し歩いた場合
食後血糖の上昇はゆるやかで、すぐに正常範囲へ戻りました。
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②食後運動せず座っていた場合
血糖は160mg/dL近くまで上昇し、その後も血糖が高止まりしてしまいました。
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③結論
食後に運動した方が血糖値の上昇を抑えられます。(→食後は少しでも運動しましょう!)
血糖スパイクは「知らないうちに」起きている
健康診断で「血糖は正常」と言われた人でも、実は食後に血糖が急上昇(スパイク)していることがあります。
特にこんな生活がある方は要注意です:
- 朝食を抜きがち
- 食後はすぐにデスクワーク
- 炭水化物中心で早食い
- 運動する習慣がない
血糖スパイクを防ぐには?
当院の血糖モニタリング外来での知見から、日常でできる対策は以下の通りです。
- 朝は少しでも食べる
- 野菜・たんぱく質を先に、炭水化物は後に
- 食後に10分歩くだけでも効果あり
- 甘い飲み物や白米を控え、糖質の“質”と“量”を意識する
血糖を“見える化”するという選択
食事・運動・生活スタイルを変えるには、まず「自分の血糖がどう動いているか」を知ることがスタートです。当院で行っている「血糖モニタリング外来」では、リブレ2という持続血糖測定器を使い、2週間の間24時間リアルタイムで血糖の波を“見える化”が可能です。
- 自分の食事のクセ
- 運動の効果
- 食後の眠気や集中力の原因
これらが数字とグラフで分かると、「なるほど!」と腑に落ち、対策が楽になります。
血糖モニタリング外来とは?
当院では、糖尿病専門医が必要な方にのみご案内する「血糖モニタリング外来(自費診療)」を実施しています。
対象は…
- 糖尿病の治療中の方
- 境界型・予備軍の方
- 健康だけど自分の血糖を知りたい方
などです。
まとめ|血糖スパイクは、まず“知ること”から
朝ごはんを食べたかどうか、運動したかどうか。その“ちょっとした違い”で、血糖の動きが大きく変わることが、今回の事例からはっきり分かりました。
「血糖スパイク」は、糖尿病でなくても起きるものです。
そして、知らないまま放置すると、老化・動脈硬化・生活習慣病のリスクに。
まずは“知ること”から!
血糖モニタリング外来は、その第一歩です。
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著者:
東京都中央区日本橋人形町
玉寄クリニック
副院長・日本糖尿病学会認定糖尿病専門医
玉寄皓大