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【HDLコレステロールが低い人へ】“善玉”が少ないことの意味と対策とは|内分泌代謝専門医が解説

[2025.06.08]

まずはじめに

「HDLコレステロールが少し低めですね」と言われても、LDLのように薬が出るわけでもないし、あまり気にしていない…という方も少なくないかもしれません。

 

しかし、HDLコレステロール(=“善玉”)が低いことも、動脈硬化のリスクと深く関係しており、放置してよいわけではありません。

 

今回は、「HDLコレステロールが低いとはどういう状態か?」「どうすれば改善できるのか?」を内分泌代謝専門医の視点でわかりやすく解説します。

 

目次

  1. HDLコレステロールとは?なぜ「善玉」と呼ばれるのか
  2. HDLが低いとどんなリスクがある?
  3. なぜHDLが下がるのか?原因と生活習慣
  4. HDLは薬では上がりにくい?本当に効く改善法3つ
  5. 専門医として大切にしている視点

 

1. HDLコレステロールとは?なぜ「善玉」と呼ばれるのか

HDL(High-Density Lipoprotein)は、余分なコレステロールを血管から回収し、肝臓に運ぶ働きをします。このため「善玉コレステロール」とも呼ばれます。

 

簡単に言えば、血管を“掃除”する役割を持つ大切な脂質です。

 

2. HDLが低いとどんなリスクがある?

HDLが少ないと、コレステロールが血管壁に蓄積しやすくなり、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞のリスクが上がります。

 

HDLコレステロール 判定基準(日本動脈硬化学会)
<40mg/dl 低HDLコレステロール血症とされる
≧60mg/dl 動脈硬化のリスクが下がるとされている目安

 

3. なぜHDLが下がるのか?原因と生活習慣

HDLコレステロールが低下する背景には、以下のような要因があります。

喫煙
  • ニコチンがHDLの合成を妨げます
  • 禁煙はHDLを上げる確実な方法です

 

② 運動不足
  • 有酸素運動はHDLを増やす効果が期待できます

 

③ 肥満(特に内臓脂肪型)
  • インスリン抵抗性がHDLの低下につながります
  • ウエスト周囲径がリスクの指標になります

 

④ 糖尿病・メタボリック症候群
  • HDLの分解が促進され、低下しやすくなります

 

4. HDLは薬では上がりにくい?本当に効く改善法3つ

HDLコレステロールは、LDLと違い薬で劇的に上げるのが難しい項目です。そこで重要になるのが「生活習慣の改善」です。特に効果的な方法は以下の3つになります。

 

① 有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・水泳など)
  • 週に3~5回、1回30分程度の中強度運動が推奨

 

② 禁煙

• 特にHDLが40未満の方には最優先の対策です

 

③ 節酒
  • 適量のアルコール(赤ワインなど)でHDLが上がるというデータもありますが、個人差が大きく、一律には推奨されません

 

5. 専門医として大切にしている視点

HDLコレステロールは「低いから薬を出す」という単純なものではありません。しかし、数値が低いことには必ず“理由”があります。

 

  • 生活習慣の乱れ
  • メタボリックシンドロームの兆候
  • インスリン抵抗性や内臓脂肪蓄積のサイン

 

からこそ、HDLの低さを「体からのメッセージ」として丁寧に読み解き、根本的な生活の改善につなげることが専門医の役割だと考えています。

 

著者紹介

人形町 水天宮 内科クリニック 医師

玉寄 皓大(たまよせ あきひろ)

  • 日本内科学会認定 内科専門医
  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医

東大病院・聖路加国際病院で内分泌疾患・生活習慣病の診療に携わり、現在は東京都中央区日本橋のクリニックで糖尿病専門医・内分泌代謝専門医として日々の診療と情報発信に取り組んでいます。

 

 

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