【意外と知らない】錠剤の種類【医師監修】
錠剤にも種類があるのをご存知ですか
皆様が日頃内服している「錠剤」には実は様々な種類があります。普段何気なく飲んでいたかもしれない錠剤の種類と注意点などについて今回は情報をお届けしたいと思います。
①口腔内崩壊錠(OD錠)
"口の中ですぐに溶ける錠剤"
口の中に入れると、お菓子のラムネのようにすぐに溶けるため、お水なしで飲むことができます。「口の中(Oral)で崩壊する(Disintegration)」という意味から頭文字をとって「~~OD錠」という名前がついています。OD錠は口の中で簡単に溶けるので、錠剤やカプセルは苦手という方や飲み込むことが難しい方などでも容易に飲み込むことができます。また、片頭痛や吐き気を催していて水を飲むのが困難な時や、水がない時にも便利です。
例).ベイスンOD錠、タケプロンOD錠、ガスターD錠、ハルナールD錠、ゾーミッグRM錠、マクサルトRPD錠、クラリチンレディタブ錠など
②徐放剤
"薬がゆっくり溶け、効果が長い錠剤"
徐放剤は服用後に、腸の中で有効成分がゆっくりと溶けだし、効果が長く続くよう工夫された錠剤です。CR錠・L錠・SR錠などの名前がついていますが、それぞれの意味はCR錠[Controlled(コントロール)Release(放出する]、L錠[Long(長い)]、SR錠[sustained(持続して]となります。
例).アダラートL・CR錠、フェロ・グラデュメット錠
③チュアブル錠
"噛み砕いて飲む錠剤"
噛み砕いて唾液で溶かして飲む錠剤です。前述したOD錠が唾液で自然に溶けるのに対して、チュアブル錠は噛み砕かないといけないタイプの錠剤です。注意点としては、噛まずにそのまま飲み込んでしまうと、錠剤が溶けず、なかなか吸収されないということです。噛み砕くことが困難な方は医師や薬剤師にご相談ください。
例).シングレアチュアブル、キプレスチュアブル
④舌下錠
舌の下で溶かして薬の成分を吸収させる製剤
舌の下に薬を入れて溶かし、薬の成分を口の中の粘膜から吸収させる錠剤です。舌の下の粘膜から直接吸収されるため、速やかに効果が得られるのが特徴です。注意点としてはそのまま飲み込んでしまうと、薬の成分が肝臓で分解され、効果が落ちてしまうことです。
例).ニトロペン舌下錠
⑤腸溶剤
胃で溶けず腸で溶けるように設計された錠剤
薬の中には、胃から出る胃酸によって効き目が失われる薬や、胃に大きなダメージを与える薬、吸収される場所が腸に限定される薬などがあります。そのような薬を、胃で溶けないように錠剤の周りを糖やフィルムで覆い、胃で溶けずに 腸で溶けるようコーティングしたのがこの腸溶剤となります。
例).パリエット錠、オメプラゾール錠、バイアスピリン錠
⑥糖衣錠・フィルムコーティング錠
コーティングして飲みやすくした錠剤
錠剤の周りを糖やフィルムで覆い、薬の成分の苦みや臭みを隠し、飲みやすくした錠剤です。
例).アリナミンF糖衣錠
⑦粒状錠
大きな錠剤を細かく粒状にして飲みやすくした錠剤
薬の成分が多くて飲むのが大変な錠剤を粒状にして細かくしたものです。
例).バラシクロビル粒状錠
⑧トローチ
唾液で溶ける錠剤
ゆっくり口の中で溶けるように作られた錠剤です。トローチは内服ではなく、炎症している部分に「お薬の成分を行き渡らせる」イメージで使います。そのため、かみ砕いたり飲み込んだりせず、口の中で舐めてゆっくり溶かして使用します。また、トローチを舐めた後は、成分が長くとどまるよう、すぐに水を飲んだり食事をしない方が効果が持続します。使用後は30分程度、飲食を控えましょう。
例). SPトローチ
⑨付着錠
口の中に貼り付ける錠剤
口の中に貼り付く層と支える層の二層に分かれています。病変部に貼り付くことで持続的に薬の効果を発揮することができます。
例).アフタッチ口腔内貼付剤
最後に
以上のように、同じ「錠剤」でも様々な種類があります。使い方を間違えると、十分な効果を得られなかったり、副作用のもととなることもあります。用法・用量を守って正しく飲むことが大切です。また、苦手と思っていたお薬も錠剤の種類を変えることで改善されることがあります。ご自身が服用されているお薬について、正しい知識を身につけて、上手に薬と付き合っていきましょう。お薬の飲み方、使い方についてわからないことがありましたら、お気軽に主治医や薬剤師へお尋ねください。
東京都中央区日本橋人形町
(内科・糖尿病内科・内分泌内科)
玉寄クリニック
副院長 玉寄 皓大